草木の生命力や一瞬の表情を描き続けて

 

ライフワークは琵琶湖の水辺

 私が所属している京都画壇の晨鳥社は、写生を中心とする一派で、私ももう40年、自然の営みを見つめ続けてきました。今頃の季節は水辺がいいですね。ライフワークとしている琵琶湖の風景では、一面に緑の葦が群れる中に、1本、2本、枯れた葦が残っていてすーっと立っている。そのような景色に心惹かれます。緑にアクセントをつける枯れ草の色みもそうですが、抗いようもない自然のサイクルというのでしょうか、枯れてもなお立っている葦に生きる力のようなものを感じるのです。

 時間帯としては、夜明けから、あたりが明るくなり切るまでが好きですね。自然が俄かにうごめき出すと、ふっとその動きが止まって、お澄まし顔になる瞬間があるんですよ。夕日が落ちる前も、1日を終えようとして、どこか安心した表情を見せる。私がそのように思うだけかもしれませんが、そうした姿を画面に焼き付けたくて、私はこれからも写生を続けていきます。

 

 

心惹かれる枯れ木の力強さ

 私は特に、冬の自然を好んで描いてきました。季節はずれの話題ですみません(笑)。枯れ草色の中に、朝日が差せば全体が白っぽく輝き、夕日の頃には枯れ草に薄紅が差します。雨に濡れても色が変わる。色のない冬の一色に、気持ちが震えますね。それに、葦の話と重複しますけれど、葉を落としてもなお寒さの中に立つ枯れ木の力強さ、比良山からの寒風に吹きつけられて、水辺に寝そべるような姿の柳も私の好きなモチーフ。 

 やがて季節が巡ると枯れ木は葉をつけ、自然は甦ります。新しくなった緑は日に日に変わりますが、そんな風景にワクワクしながら、私は写生に出かけます。

 

profile

西村 光人(にしむらこうじん)
昭和17年滋賀県大津市生まれ。宇治市小倉町在住。日展会友、京都日本画家協会会員、晨鳥社会員。

 

〔vol.13 夏号 掲載〕

 


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